ピアスの穴を空けた部分が赤くなったり荒れたりしてご本人は金属アレルギー体質だと思いこんでいる方が多数いらっしゃいます。しかし大概の場合はアレルギー頻度の高いニッケルやクロムなど卑金属での反応で、歯科材料としてそんなに多くは使われてはいません。
しかし中には真性の金属アレルギーをお持ちの方がいらっしゃいます。
実は歯科治療をすると口の中には様々の種類の金属が混在しています。
ただし、あまり知られていないことですが、本当の金属アレルギーであれば接触範囲以外に手やふととも、足の裏などに湿疹や水虫状の皮膚のはがれ等が生じます。
そこでご心配の方は是非ともお近くの皮膚科で金属アレルギーの確定診断であるパッチテストをすることをお勧めいたします。
パッチテストとは各種の金属イオンを絆創膏で背中に貼り付けてかゆみや発赤するかどうかを48時間後、72時間後、一週間後と観察してどの金属に対してアレルギーがあるかを調べるものでストレスを与えることはないでしょう。
(ところが残念なことにパッチテストキットが高額で診療所では皮膚科でさえも用意しているところが少ないのが現状です。)
この患者さんは当院からすぐ近くの川崎市立多摩病院の皮膚科に紹介したところ歯科保険診療で頻繁に用いられるプラチナ(白金)やパラジウムに対してアレルギー反応がありました。
また、先日は別の方ですが向ヶ丘クリニックの検査で生体親和性の高いと言われているゴールド(金)ですら反応する方もいらっしゃいました。
幸い今回の場合、歯科治療に関してはブリッジなどの金属を使う補綴物を必要としなかったのでレジン充填(非金属の樹脂)のみで虫歯の処置が可能でした。
金属アレルギーの方は今後抜歯などによってブリッジや入れ歯にならないよう細心の注意(プラークコントロール)が必要でしょう。