「虫歯が多いことは自覚しているものの妊娠中なので不安です。」
そう考える妊娠中のご婦人が多数いらっしゃいます。
心配ありません、ぜひとも妊娠中の治療をお勧めいたします。我々がかつて習った教科書ではなるべく妊娠中をさけて出産後に治療をおこなうのがよしとされていました。
しかし、実際のところ出産後に乳飲み子を抱えて歯科治療をおこなうことはご本人にとって苦痛です。
すなわち出産直後~少なくとも3ヶ月までは人生の中でも「大忙し」の時期です。
睡眠不足の上に夜中に3時間ごとにおっぱいをあげなくてはいけないし、ちょっと目を離すといつの間にかうつぶせになっていたりしてびくびとし気の休まるときがありません。
すごいストレスです。
そんな中で歯医者に通うことは至難の業です。
上記の理由で私は妊娠中の診療をお勧めいたします。
だって母子手帳に歯科検診の欄があるではありませんか。
妊娠中は妊娠性の歯肉炎や妊娠初期の忙しさやつわりで満足にブラッシングをできない環境にあります。
従って歯槽膿漏や虫歯になりやすい環境になってしまいます。初期はともかく後期になったら(今は安定期という言葉はなくなってしまいましたが)ゆっくりと歯科治療を受けられる絶好の機会なのです。
反論もあるでしょうが身体的侵襲の強い高度の外科的処置を避けストレスを受けない(おなかのお子さまにストレス)積極的な歯科治療を受診することをお勧めいたします。
私は妊娠6ケ月目です。右下の親知らずが欠け痛くて、歯医者に行きました。薬の服用は副作用の可能性があり、100%大丈夫といえる薬がないけど、出産後はなかなか来ることができず、今が抜くのには良いチャンスだと言われ、迷っています。歯の治療によって子供に影響が出たという報告はないのでしょうか?
1.歯の治療で一番問題となるのは治療中のストレスと考えます。
すなわちお母さんが緊張するとおなかのお子様も同様に緊張して臍帯の血流も減少します。
ですからリラックスした状況下において抜歯すべきでしょう。
2.おっしゃるように副作用の全くない薬は存在しません。
しかも臍帯で濃縮されるとのことでできれば飲まない方がよいのですが下顎の親知らずとなると抜歯後の疼痛はある程度あります。
それを覚悟の上で抜歯をしてください。
状況によっては抜歯せずに出産まで痛みだけ取ることができれば理想ですが今度は母乳に薬が濃縮されて来るという問題が生じてきます。
それらの問題をふまえた上で今抜歯すべきかどうか担当の歯科医師と十分検討なさってください。